2014年12月10日水曜日

「宇宙への夢、力いっぱい!」若田光一 高橋うらら

書名: 宇宙への夢、力いっぱい!
著者名: 若田光一 高橋うらら
出版社: PHP研究所
好きな場所:第一印象で感じるそれぞれの宇宙飛行士の国籍によるちがいは、表面的なものにすぎません。人間をたまごにたとえれば、からのようなものです。各国の文化や歴史を事前に学んでおけば、そのからはやぶることができますが、その人のほんとうの性格や個性は、そのからの内側にある中身の部分なのです。
 所在ページ: p147
ひとこと:宇宙飛行士として四度の宇宙飛行を行い、国際宇宙ステーションに長期滞在しただけでなく、コマンダーにもなった若田さんの一人称による伝記です。でも、子ども向けにわかりやすく書くためには技術がいるということで、構成や文章などを、ノンフィクション作家の高橋うららさんが担当されています。きっと太平洋や宇宙空間をはさんで、取材などもたくさんされたのではないでしょうか。とてもわかりやすく、かつ若田さんのお人柄のとてもよくわかるいいご本です。

 引用は、コマンダーになって国際宇宙ステーションで、各国から来た宇宙飛行士のコミュニケーションをとろうと、若田さんが工夫されている個所です。
 ほんとわたしもそんなすごい経験こそありませんが、若い時は、宗教の違い、言葉の違い、考え方の違いに目がゆきましたが、最近は、やっぱり人間の本性というか中身は、そういう違いとは別の核のようなところにあって、それこそが人と人がつきあうのにいちばんだいじなところなのではないのかなあと、思うのです。
 国際宇宙ステーションの中のような状況が、実は今、世界のあちこちで起きはじめているのではないかと思います。工場で、建設現場で、サッカーチームで、大学の研究室で、きっと若田さんのようなコマンダーが必要とされているのでしょう。きっとこの本を読む子どもたちが大きくなったころは、さらにそういう事態が進んでいるにちがいないと思います。そういう意味で、これからどんな考え方をしてゆけばいいのか、宇宙開発のようすを知るのみならず、とても有用なノンフィクションで、ぜひぜひたくさんの方に読んでほしいなあと思います。