2012年8月10日金曜日

「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」みらい文庫が三刷

「注文の多い料理店 銀河鉄道の夜」みらい文庫が三刷というお知らせをいただきました。
ちょうど一年前ぐらいになりますが、監修・解説をさせていただきました。

宮沢賢治の原文そのままですが、適所に註をつけ、巻末には「あらすじ」と「読書のコツ」がついています。巻末部分は基本的に短編一編に対して1ページ(長いものは2ページ)で、上段にあらすじ、下段に基本的な事項の理解を助ける問いと答え、または図が書いてあるというつくりになっています。一編ごとに挿絵も本文のものと対応していて、子どもさんが見て直観的にどの話だとわかるものになっています。宮沢賢治の文章は、非常に詩的ですがそのぶん事実関係などは、大人が読んでもわかりにくい。この図や絵、文章を先に読んでから中身を読んでいただければ、その内容がより深く理解できることと思います。

実は、こんなささやかなブログにも知りあいばかりではなく、検索で来られるかたもあるのですが、夏休みなどは「○○(本の題名)のあらすじ」という検索ワードが多く(笑)。まあもちろん、読む前にねたばれのあらすじを読むのはどうか、とお考えの向きもあろうかと思いますが、やはり自分の生まれた時点より前に書かれたものというのは、一定の知識がなければ読みこなすことは難しいし、わからない事象一つでもバリアーになって、味わうどころではなくなるものだと思います。私は、子どものころから、難しい本を無理やり読まされたのでよくその気持ちがわかります。そんなとき、せめて、自分の読んでいるものの世界が、ゆくさきが、うわさ程度でもぼんやりとでもわかると、それがどんなに助けになるでしょうか。ぼんやりから、わかる感じがするようになる。そしてそのうえで好きなものは何度か読んで、さらに好きになる。そういうことのくりかえしで、子どもは本好きになってくるのだと自分の経験から思います。