2012年4月9日月曜日

書名:平和をねがう「原爆の図」―丸木位里・俊夫妻―
著者名:楠木しげお
出版社:銀の鈴社
好きな場所:かいてはぬりつぶし、ぬりつぶしてはかき……、二人の画家の二つの個性が、一つの画面でたたかいをくりひろげました。
所在ページ: p12
ひとこと:同じく銀の鈴社の「旅の人 芭蕉ものがたり」で産経児童出版文化賞を受賞されている楠先生の新刊です。「原爆の図」で有名な、丸木夫妻の物語です。

夫婦はライバルとよく言われます。普通の夫婦でもそう感じることがあるのだから、ましてや芸術家夫婦で、しかも洋画と日本画という異なる手法の画家が二人で、一枚の絵をかくというのはとても難しいことだったのではないかと思います。でも、「共同制作だから離婚せんですんだ」とおっしゃっていたとのこと。とても興味深かったです。

この本ではそれぞれの生い立ちから、結婚のいきさつ、広島とのかかわり、原爆の絵を描いたこと、それを普及して海外を歩いたことなど、夫妻の軌跡を詳細に追っておられて、とても読みごたえがあります。

丸木夫妻のことを知りたい大人が読むにも十分ではと思いました。私は、丸木俊さんが外交官の子どもさんの家庭教師でロシアに住んでいたことや、当時日本領だったパラオに行き、島を買おうと思ってもどってきたことがあったこと、また丸木位里さんの元の奥様と俊さんの間で夫の譲渡(笑)が行われたところ、デンマークに行ったところ古語を話す親日家が現れたところ、などの詳細がとてもおもしろかったです。(ほんと自分の知ってる外国語って、現代に通用するものかなあと不安になることありますよねー)