2011年10月21日金曜日

マジックアウト1 アニアの方法

書名:マジックアウト1 アニアの方法
著者名:佐藤まどか
出版社:フレーベル館
好きな場所:かつて電力が不足することのなかったこの国では、蓄電というシステムがほとんどないため、すべてが凍結してしまった。今までは蓄電する必要がなかったのである。非常時のためにもっと蓄電システムを強化しろと賢者たちが過去に何度か助言したにもかかわらず、実行されなかった。
所在ページ:p106
ひとこと:イタリア在住でデザイナーでもある佐藤まどかさんの新刊ファンタジーです。三巻構成のうちの第一巻。異世界ファンタジーですが、その斬新な設定には、本当にびっくりさせられます。だれもが何等かの才を持っている世界で、才がなく生まれてきてしまったアニア。「無才」のため親をがっかりさせ、友だちにはばかにされます。この世界では、それぞれが有する才によって発揮される術のために、病気にもほとんどかからず、天気さえコントロールされて農業、漁業なども滞りなく行われていたのですが、マジックアウトという事象が起き……というわけで引用のようなまるで、この三月に現実に起きたようなことが起きます。三年前から準備されていたというこのご本、まるで予知したようなびっくりの内容です。なのでその解決方法も当然ながら、注目されることでしょう。

佐藤まどかさんは、ご自身が芸術家であるだけに、才能ということについては、いつも考えておられるのだなあと思います。先日やはり出版されたばかりの佐藤さんのお作「スーパーキッズ 最低で最高のボクたち」(講談社)は、それぞれに才能のある子が集まるインターナショナルな学校を舞台にしたお話で、「無才」の子の主人公のこのお話とは対極ですが、「ある」ことと「ない」ことの根っこは同じです。
それにしても短期間に、ハードカバーが二冊、しかもどちらも続編を期待されるなんてすごいです。ますますのご健筆をお祈りしております。