2010年7月10日土曜日

The Show Must Go on

書名:季節風103号
著者名:全国児童文学同人誌連絡会
引用箇所:私のおへそだ。私のものだ。そう思いました。
所在ページ:29

後藤竜二さんが亡くなったので、後藤さんが編集委員であられた最後の「季節風」です。

拙作「ななのおへそ」を掲載していただきました。
もっとも後藤さんについに講評はいただけませんでした。最初掲載していただいた「きょじん」は合評で「みてみたい、だろ、なのにみていない、これじゃわからん」と言い放たれ、それだけで(笑)、次に掲載していただいた「小柄の鉛筆削り」は「紅玉」なんて傑作のある後藤さんにはだめだったのではないかと思っています。

私は季節風に入ってから日が浅く、でも入ったときから、たぶん後藤さんには評価していただけないだろうな、と思っていました。そのうえ、いつもまわりにたくさんの人がおられたから、お酌に行ったこともなければ寄り付いたこともなし。

なのに「そこの○○さんと、○○さんの間にいる、君はだれ?」とお聞きになり。そのあと、もう忘れておられると思ったのに、次の宴会のときはわざわざ「あれ、どうなりましたか?」と、長編のことを聞いてくださり。「あれは、どうしますか?」と大会推薦作のゆくえまで聞いてくださいました。度量の広さにびっくりです。

みなさんあちこちで、後藤さんがくださったうれしいメールのことをおっしゃっておられますが、わたしにもあります。それを見て、ああ、自分が書く、自分がこれを絶対に子どもに到達させるという強い意志がなかったら、何も実現しないんだ、と思いました。なんでこんなに知らないものにも親切にしてくださったかといえば、それはひとえに子どものため、子どもにいいものを見せるためだったんだろうなあと思ったら、恥ずかしいけど泣けました。ほんとうにそんな方だったんだから、私よりもっと長く行き来されたかたが、びっくりして、これからどう書いてゆこう、場合によっては書くのをやめてしまおうか、と思われても、不思議はないと思います。

でも、The Show Must Go on
観客はいるんだから。そう思いました。