2010年3月21日日曜日

ポンペイ・グラフィティ

書名:ポンペイ・グラフィティ 落書きに刻むローマ人の素顔
著者名:本村凌ニ
出版社:中央公論社(中公新書)
好きな場所:「公共の金は分配されるべきじゃなかろうか。どうせ、わしらの財庫は莫大な金額を保持しているんだから」ある学者は、この落書きの背景に都市財政の余剰を想定する。富裕市民の個人負担で公共事業がまかなわれたので、都市の金庫にはお金が余って仕方がなかった。そのために、民衆のある人々は公金の余剰分を自分たちに配給するように求める。彼らはその要求を落書きに記したのだと。
所在ページ:79
ひとこと:ポンペイの遺跡の落書きを研究している学者さんが書かれた一般人向けの本です。ふむ、おもしろいなー、個人負担ということは、すっごい累進課税と同じこと。アメリカみたいに文化事業の寄付に免税するのと同じ(だから寄付してるのは、未亡人が多いそうな、税金取られるのとどっちがいいかってことで)。結局はどこに配分するかの権限がどこにあるかということの違いで(この違い、大きいって言えば大きいけど)理屈は税金と同じだねー。「自分たちに配給するように」というのは社会福祉にまわせってこと。こういうことが落書きでわかっちゃうんだなー。研究ってすごい@@。そして人間ってキホン変わらない。