2018年12月2日日曜日

「天地ダイアリー」ささきあり

書名:天地ダイアリー
著者名:ささきあり
出版社:フレーベル館
好きな場所:天地返しというのは、表面の土と深いところの土を入れかえて、土を再生することです。
所在ページ:p25
ひとこと:ひろすけ童話賞を受賞されたささきありさんの、今度は幼年ものではなく中学生の男子を主人公とした作品です。



 木下広葉は転校を繰りかえしてきたため、中学に入学してもなにか友だちになじめません。それを象徴するように、アレルギーと称していつもマスクをしています。
 広葉はクラスには上層、中層、下層というスクールカーストがあると思っていて、自分を下層に位置づけています。でも下層はほかの層から見下されても、流すことができればそう居心地は悪くないのです。
 広葉は栽培委員会という学校や近辺の花壇を整備する委員会を選んで入ります。下層の委員会で無難にすごせると思ったからですが……。しかしクラスでは体育祭のむかで競争の練習でいざこざが起き、ただ一人の友だちと思っていた子とはかさが花壇に落ちたことでうまくいかなくなり……。
 びくびくしていた広葉は、その中で自分のいろいろな思い込みに気づいていきます。
 まさに天地返し、たしかにスクールカーストというのは存在するかもしれませんが、たとえ安定していたとしても、上層はいつでも上層で、下層はいつでも下層で、それがみんなにとっていいんだろうか、そんなことを考えさせられる物語です。