2018年11月22日木曜日

「その年、わたしは嘘をおぼえた」ローレン・ウォーク

書名:その年、わたしは嘘をおぼえた
著者名:ローレン・ウォーク
出版社:さ・え・ら書房
好きな場所:その人たちは、使えない銃だとしらなかったし、ここで起きたこともまったく知らなかったそうよ。
所在ページ: p318

ひとこと:2017年にニューベリー賞を取った本で、作者が初めて書いた児童書だそうです。作者はメリーランド州出身のアメリカ人で、ネイティブ・アメリカンに関する専門家。
 この物語は、第二次世界大戦中、1943年「オオカミ谷」と呼ばれるアメリカの田舎に暮らす少女の物語です。
 少女、アナベルの通う学校に、いじめっこが来ます。ベティという子です。「矯正不可能」の不良少女です。アナベルの弟たちに危害を加えると脅迫して、アナベルに言うことを聞かせようとしています。
 一方、アナベルの家には、コダックのカメラがあります。コンテストでかあさんが勝ち取ったもので、一生分のフィルムと現像代がついています。最初は一生懸命撮っていたものの、あきてしまってもう使わなくなっていました。
 それを貸してくれといいにきた男がいます。町外れに住むトビーです。変わり者で、第一次世界大戦に参加しておかしくなった人だとみんなは認識しています。トビーはいつも三挺の銃を背負っているのです。
 そんな日々のなか、ある子が失明しそして、村のみんなはその犯人を捜します……。

 みんなが考える真実とは何か。本当の真実はどこにあるのか。いかにもそれらしい人は犯人なのか……。作者はネイティブ・アメリカンの専門家ということです。これにはネイティブ・アメリカンは出て来ませんが、人の偏見という根強いものに対するコミットを感じる物語です。