2017年6月23日金曜日

「なみきビブリオバトル・ストーリー 本と4人の深呼吸」さ・え・ら書房

『なみきビブリオバトル・ストーリー 本と4人の深呼吸』(さ・え・ら書房)の見本が来ました。発売は2017年6月26日です。


この本の主人公は4人ですが、私ども著者も4人です。(赤羽じゅんこ、松本聰美、おおぎやなぎちか、森川成美)

昨年の秋、偶然に集まった児童文学作家4人が、いっしょに本を書こうよということになりました。それも、図書館で行われる知的書評合戦ビブリオバトルに小学生が参加するという物語をです。

通常、複数の作家によるアンソロジーは、依頼か公募かにより、テーマに沿って作家がそれぞれ考えた作品を書いて提出し、それを合わせて一冊の本にするのです。
しかし、今回は違いました。
私たちは、膝をつき合わせて、それぞれの描く主人公の年齢、性別、名前、性格を決め、そしてそれぞれの主人公がビブリオバトルに参加する動機を決め、ビブリオバトルが行われる場所である図書館を決め、その図書館のある町を決め……ということで設定をすべて話し合って始めたのです。
もちろんいろいろ齟齬はありました。ある方は、町の大通りの並木はけやきがいいと言い、ある方はいや、並木はいちょうがベストで他は考えられないと言い、そんなこんなで一事が万事ですが、細かいことでありますけれど考えの違いがありました。場合によってはずっと平行線でまとまらないというリスクもあったところ、お互いがいわば耐えがたきを耐えて(笑)、お互いにとって一番だいじなことは何かを考えて妥協し、一つの物語をつくりあげたのです。

ただ一つ当初から決めていたものは「ビブリオバトル」それだけでした。
ビブリオバトルというのは、2007年に京都大学の研究室で谷口忠大さんが始められたゲームです。本というものは、内容がわからなければ読みにくいものです。しかし、ただの読書会や内容紹介では、読む気になりません。そこで、一種のルールにしたがったゲームとして書評合戦を行うということで、読む気をブーストし、かつ互いのコミュニケーションを深めるという試みで、ビブリオバトル普及委員会を中心に、最近広まってきています。

私どもは著者のお一人である赤羽じゅんこさんのお宅に、このビブリオバトル普及委員会の粕谷亮美さんにおいでいただいて、レクチャーを受け、またそれぞれが、実際に各地のビブリオバトルに参加したり、お互いが主人公になりきってお互いの間でビブリオバトルを行ったりして、物語を練り上げました。

とてもおもしろい物語になったと思います。またビブリオバトル普及委員会や、谷口さんにも読んでいただきご了解を得ることもできました。

4人の五年生がビブリオバトルに初挑戦するお話です。
私は勅使河原陸というちょっと太めでシャイな男の子を書いています。陸は、修という男の子と、ある理由でけんかしています。修はとっても社交的な子で陸とけんかしたことすら忘れているのですが、陸は修がどうして許せない。それで、修にある本を読んでもらいたいと思うのですが……。

どうぞお読みいただければ、そしてたくさんの小学生が陸たちのようにビブリオバトルに挑戦していただければうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。