2016年3月17日木曜日

「荻野吟子 日本で初めての女性医師」加藤純子

書名:荻野吟子 日本で初めての女性医師
著者名:加藤純子
出版社:あかね書房
好きな場所:いや、早まってはいけない。さしもどしの理由が『前例なし』だとすれば、古来日本では、女性が医者になった歴史はなかったのか……。そこを調べてみよう。
所在ページ:p69
ひとこと:荻野吟子は埼玉県熊谷市の大きな農家の家に生まれました。そして近隣の名主の家に嫁ぎますが、夫に淋病をうつされて離縁されてしまいます。その経験から、女性医師になろうと勉強を始めるのですが。引用のように前例がないと、医師開業試験の願書を差し戻されてしまいます。何のために勉強をしたのか。いっそ外国で資格を取ってこようかと迷う吟子に、高島易断で有名な高島嘉右衛門は引用のように言います。そして、なんと令義解までさかのぼって、日本に女医がいたという前例を探してくれたのでした。


初めての女性医師としてパイオニアになった荻野吟子ですが、想像以上に大変だったのですね。結果が見えないというのに勉強をするということ自体、とてもすごいことだと思いますが、先例と言われれば何もないわけです。今もそうでしょうが、お役所はやっぱり先例が大事。そこを令義解までさかのぼってさがしてくれた協力者の存在があったなど、ほんとうるうるします。

「伝記を読もう」シリーズの、第七巻、日本で初めて女性医師になった荻野吟子の伝記を同じ埼玉県出身の加藤純子さんが、詳しくお調べになり、取材されて、お書きになりました。

このシリーズのラインアップと筆者は次のようにとても魅力的です。

① 坂本龍馬 文・榎本秋
② 豊田喜一郎 文・山口理
③ やなせたかし 文・中野晴行
④ 伊能忠敬 文・たからしげる
⑤ 田中正造 文・堀切リエ
⑥ 植村直己 文・滝田誠一郎
⑦ 荻野吟子 文・加藤純子
⑧ まど・みちお 文・谷悦子
⑨ 葛飾北斎 文・芝田勝茂
⑩ いわさきちひろ 文・松本由理子

読んでみたいお話がたくさんです。