2016年2月5日金曜日

『水晶玉を見つめるな!』赤羽じゅんこ 講談社

書名:水晶玉を見つめるな!
著者名:赤羽じゅんこ
出版社:講談社
好きな場所:それから、ずっと水晶玉がうかんで、頭からはなれない。ぼくは、また願いたくてしかたなくなった。
所在ページ:p111
ひとこと:俊介は透明な玉をキャンプ場近くの川でひろいます。たぶん水晶玉と思われるその玉は、のぞいたら別の世界にひきこまれそうでした。
 俊介はこの水晶玉を使い、なかよしの拓真といっしょに、にわかうらない師になって、お金を稼ごうとしますが、みんなが持ってくるのはお菓子ばかりで一円にもなりません。それでもいいかと、でたらめを言ってうらなっているうちに、いやな子が来ます。トレカをたくさんもっていることを自慢ばかりしているのです。俊介は「トレカが、めちゃくちゃになります」とうらないますが……。

 願いがかなう水晶玉でした、という展開かとおもいきや、この水晶玉は、どうもそういう風には働かないようです。ではどういうときに、どういう風に作用するのでしょうか。そして、それがわかったとき拓真は引用のようなことを気づき、俊介は拓真との関係が大事だったことに気づくのでした。でも、どうすればいいのでしょうか?

 いい子ではない俊介のやんちゃぶりがすてきです。そして拓真との関係も。いろいろと人生を考えさせられます。俊介がするでたらめ占いもおもしろく、赤羽さんの産経児童出版文化賞受賞のお作、『がむしゃら落語』(福音館書店)にあったはちゃめちゃ落語人たちに見られたような、ユーモアとおもしろさがここにもあります。子どもだったら、こんなうらない屋、やってみたいと思います。