2016年2月23日火曜日

「感情類語辞典」フィルムアート社




書名:感情類語辞典
著者名:アンジェラ・アッカーマン+ベッカ・パグリッシ
出版社:フィルムアート社

どこかの広告で見て、図書館で現物を確かめ、それから買いました。
類語辞典ですが、写真のように感情ごとに並んでおり、それぞれに、しぐさや、感覚、体の反応などが箇条書きになっています。

たとえば「きまり悪さ」の項でしたら、「頬が徐々に紅潮する」とか「立ちくらみ」とか「頭の中で解決策を練る」とか「聞こえない、もしくは見えないふりをする」とかです。

ずいぶん前のこと、ものを書くにはまず類語辞典よ、と先輩に言われて、原稿料代わりにいただいた図書カードで一番に買ったのが一般的な類語辞典だったのですが、これが意外と私には役に立ちませんでした。語彙の範疇にとどまっていたからです。たとえば「きまり悪い」だったら、「間が悪い」「ばつが悪い」「照れ臭い」と、「きまり悪い」の代わりに入る語を探すだけだからです。

でも実際に書いていて困るのは、登場人物の感情を表す所作がたとえば、「唇をかんだ」「下を向いた」ばっかりしか思い浮かばないというようなときです。このとき、こっちは登場人物になり切って頭の中で演技をしているんですが、それにしてもワンパターンでは、あきてしまいます。他に何かがあるはずと思いながらも思いつかない。

そんなとき、これ、役に立つなと思います。もちろん、基本は登場人物になり切って演技をすることなんですけれど、まあ役者たる自分の他に演出家がいて、「こんなふうにしてみたら?」とヒントをくれるっていう感じでしょうか。これに頼って並べていては、物語にはなりませんでしょうし、使うにしても自分の言葉に置きなおして書かなければなりませんが。