書名：どうだっ！
著者名：後藤竜二
出版社：新日本出版社
好きな場所：トンちゃんの上ばきをかくしたのは、わたしです。ちょっといたずらしただけだったのに、大さわぎになってしまったから、いえませんでした。
所在ページ：p16
ひとこと：後藤竜二さんが亡くなったのは、2010年です。それからのち増刷や復刊はずいぶんあったんだろうと思いますが、なんとこのたび新刊が出たということです。すごいです。1994年に少年少女新聞に連載された「ないしょ！」という文章が、長谷川知子さんの絵で、絵本となりました。
いい子でもわるい子でもない、普通の子の普通の心を、いいとかわるいとかではなく押しつぶさずに表に出した、すてきなご本です。子どもさんはもちろん、ぜひぜひ、先生方、おかあさん方に読んでいただきたいと思います。
引用は、わたしが上ばきをかくしたのですが、先生がいっしょにさがそうと言ってくれたんだと思います。それで、先生とさがしていたら、なーんと！ かわいいというか、笑えるというか。このすてきさはなんでしょうか。出てきませんが、先生もすてきです。
後藤さんが亡くなったとき、私はまだ本を出すという経験をしたことはありませんでしたが、それでも今こんなにたくさんの本が毎年出るような時代、いくら後藤さんでも著者が亡くなってしまったら忘れられてしまうのかなあと、すごく悲しい気持ちでした。その後、自分で出してみて、さらに、この時代、一年以上も本が忘れられずに買われるということがどんなに大変なことか、身に染みてわかります。
それが、なんと新刊が出るなんて、さすが後藤さんです。たくさんの周囲の方をインスパイヤし、励まし、育ててこられた功績と、それから、普遍的で、正直な子どもの気持ちを追及してこられたからこそだと思います。
