2015年8月20日木曜日

「川床にえくぼが三つ」にしがきようこ

書名:川床にえくぼが三つ
著者名:にしがきようこ
出版社:小学館
好きな場所:必死になって調査してたのに、文音ちゃんにやられるとはな、まいったよ
所在ページ:p167
ひとこと:『ピアチェーレ 風の歌声』で、日本児童文学者協会長編児童文学新人賞と、椋鳩十児童文学賞を受賞されたにしがきようこさんの新作です。

 中学二年生の主人公、文音は、友だちの華といっしょに、インドネシアに8日間行くことになります。おばさんの楓子さんが、化石の発掘に行くのに同行するのです。インドネシアのジャワ島は、ジャワ原人が発掘された場所です。

 文音と華は、インドネシアという場所にびっくりしながらも、発掘のてつだいをします。筆を使って川床の土をどけてゆくうちに、えくぼが三つあると思ったとたんに、周囲が緊張して大騒ぎになります。大発見だったのです。
 発見はだれのものか。チームのものだということは決まっているのですが、それぞれの人にいろいろな思いがあることを文音は知ります。華ともぎくしゃく。引用のような現場のリーダーの気持ち。しかしリーダーは、発見によって自由になったと語るのです。そして、最後に文音は華とのつながりをより深めて、二人は帰国します。

 にしがきさんは、インドネシアに住んだことのある方で、椋賞を取られたすばらしい筆で、異国の独特の匂いや湿度、暑さなどを描写されながら、太古に触れる研究のロマンを描かれています。