2015年1月12日月曜日

「犬たちからのプレゼント 動物ぎゃくたい大反対!」高橋うらら

書名: 犬たちからのプレゼント
著者名: 高橋うらら
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所: 「ゴールデンレトリバーは大きくなるって、教えてあげれば、よかったのに!」
所在ページ: p115
ひとこと:好評だった「犬たちからのプレゼント ショコラがくれたはじめの一歩」の続編です。今回も、カバー写真にとってもかわいい子犬が載っていて、魅力的です。

 グリーンタウンの小学五年生、奈々子、愛梨、レイナ、ハルト、進一郎。同じ小学校に通いながら、それぞれに違う事情があって、違う悩みをかかえています。たとえば、ハルトは家がラーメン屋さんで、はためには気楽そうですが、実は閉店の危機にあり、引っ越しをしなければならないかもしれません。進一郎は大企業の社長の息子で家のことは心配しなくていいのだけれど、自分の意思にかかわらず受験をしなければならない運命にあります。ハルトが好きなのは奈々子ですが、なかなか気持ちが通じません。一方、レイナはハルトが好きで、ハルトの奈々子への気持ちを気づいています。そういうお互いの人間関係に、犬たちの運命がからんできて、四人は犬のレスキュー隊を結成したのでした。

 引用は、ペットショップから売られて行っては戻ってくる犬がいるということに、ハルトが気付いたところです。行ったり来たりしているうちに、子犬は大きくなって売れなくなるのです。
 そんなことや、引き取られた犬が棒でたたかれるとか、犬が飼えない事情があるけれどもさびしくて元気がなくなったのでどうしても飼いたい、などの犬にまつわる現実を知りながら、子どもたちは、小学五年生という時を乗り越えてゆきます。

 奈々子のおかあさんがボランティアをしていて、愛梨も手伝っている動物保護団体が、要となって、いろいろなことを教えてくれます。モデルとなっているのは、同じくみらい文庫『おかえり! アンジー』にも登場する「アニマルレフュージ関西(ARK アーク)」で、写真もみんなアークで保護されている犬ということ。お話はフィクションですが、アークの動物保護の姿勢や理念を、この本を通じて感じることができます。作者も巻末にかかれているように、これを読んだ子どもさんがたは、作文や感想文で、動物愛護の精神を、みんなに伝えてくれるに違いありません。