2014年12月15日月曜日

「モーモー村のおくりもの」堀米薫

書名: モーモー村のおくりもの
著者名: 堀米薫
出版社: 文研出版
好きな場所: モーモー村のほんとうの名前は、百々谷村というんだよ。人より牛の数のほうが多いから、モーモー村とよばれているんだ
所在ページ: p4
ひとこと:小学三年生の美咲は、獣医の娘です。ママは数年前に亡くなりました。パパはモーモー村の家畜診療所で働くことになったのですが、美咲はママの思い出のある家を離れたくありません。そんな美咲に、パパは一年だけ時間をくれといい、二人はモーモー村にやってきます。

 堀米薫さんは、宮城県角田市の現役の農家の奥様です。

  堀米家では、主に肉牛を飼育しておられて、でも米作も、それから林業もやっておられます。そのうえ近所のみなさんと共に産直のお店「あぐりっと」も運営しておられて、想像するだけでもものすごい忙しさ。その中で、フィクション、ノンフィクションと毎年何冊も本を出されていて、ほんとうにびっくりします。
 フィクションは、いずれも農林業に関することです。実際の生活に根差したもので、特に農林業に関することについては、うそはありません。
 
 都会から来た美咲と共に、わたしたちもいなくなった子牛を探し、蛍を見て、稲の花のにおいをかぎ、きのこ汁を食べ、おもちをつき、だんごもちを木のえだにさして、雪山できつねに会い、そして最後は、牛の出荷に立会い、命について考えます。生き物の命をいただいてわたしたちが生きているということ知るのです。

 堀米さんのデビュー作『牛太郎、ぼくもやったるぜ!』(佼成出版社)と同じ岡本順先生の絵がすてきです。