2014年12月13日土曜日

「影なし山のりん」宇佐美敬子

書名: 影なし山のりん
著者名: 宇佐美敬子
出版社: 学研教育出版
好きな場所: りんにしたところで、まるっきりこわくないわけじゃあない。あの苦い水をにつめて出てきたものだ。もし思いちがいなら、ほんとうに死ぬかもしれない。
所在ページ: p139
ひとこと:第22回小川未明文学賞で大賞をとられた宇佐美敬子さんのお作品が出版されました。
「単なる民話的物語にとどまらず自然と人間がいかに共存していくかということも問うている」という選評のあるお作品です。
 文章がすばらしく、イメージもとてもすてきで、ほんとうに大賞にふさわしいお作品ですね。短編連作は賞の応募には不利、と一般的に言われますが、つくりかたによってそうではないこともあるということも証明しておられるような気がします。

 連作といっても、二話です。一部は影なし山、二部は影さし山のお話です。
 絵は佐竹美保先生。佐竹先生の絵はほんとうにすてきで、私も描いていただいたことがあるのですが、ラフを拝見して「え、ここをとるの!」「この形!」「この配置!」とおどろきの連続でした。そしてシーンシーンに、なにか発見があって、ほんとうにびっくりしました。このご本の絵もすばらしいです。