2014年12月22日月曜日

「あらあら ともちゃん先生奮闘記」飯田朋子

書名: あらあら ともちゃん先生奮闘記
著者名: 成沢真介 飯田朋子 ウノ・カマキリ
出版社: 星の環会
好きな場所: 一瞬、彼女は困ったような顔をし、「ああいう子どもたちでも絵を描くの?」と、続けた。
所在ページ:p146
ひとこと:季節風の先輩、飯田朋子さんの書かれるお作品は、いつも知的しょうがいのある子のいる家族のお話です。『だんご鳥』『おまけ鳥』(新日本出版社)は、知的しょうがいのあるおねえちゃんをもつ男の子が主人公ですし、『シャトルバスにのって』(新日本出版社)も、角度は違いますが、同じく知的しょうがいのあるおねえちゃんをもつ女の子の話です。この話しか、書く気はないの、とおっしゃるぐらいで、これは飯田さんのライフワークになっておられます。

 もうひとつの飯田さんのライフワークは絵画教室で、これには幼児から大人までいろいろな方が集まって絵を描いたり、造形をしたりしておられます。「いろいろな方」の中には、飯田さんのことですからもちろん、しょうがいのある方も含まれているのですが、引用のように、これを「当然」と思わずにビックリされる方も、おられることでしょう。

 でも飯田さんは「当然」、あの子もこの子も同じように接しておられるのですが、その中で、しょうがいを持った人たちに接した経験を抜き出して、しょうがい児教育の専門家さんと、漫画家さんとのコラボでつづられたのがこの本です。

 前半は、その専門家の成沢さんの「わかって! 自閉症」。自閉症、という言葉は知っているけれども、どう接したらいいのかわからない、という人にも、わかりやすく、自閉症のタイちゃんをめぐる事件と、タイちゃんの立場からのその事件の解釈を交互に書きながら、自閉症というものを学問ではなくて生活レベルで、解説しておられます。

 後半は、ともちゃん先生=飯田さんの教室に来られていたお子さんたちが、どういうものを描いたりつくったり、どう行動したか、という体験記で、下半分にはその事件をわかりやすくするためのマンガがあります。

 飯田さんの児童文学と共に読めば、ともすれば引用のような感想を持ちがちなわたしたちも、世界が広がるような気がします。 アマゾンでも入手できます↓

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%82%E3%82%89-%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E5%85%88%E7%94%9F%E5%A5%AE%E9%97%98%E8%A8%98-%E6%88%90%E6%B2%A2%E7%9C%9F%E4%BB%8B/dp/4892945404