2014年10月27日月曜日

「犬をかうまえに」赤羽じゅんこ

書名: 犬をかうまえに
著者名: 赤羽じゅんこ
出版社: 文研出版
好きな場所: かう前に名前を決めるのは、やめたほうがいいわよ。名前ってふしぎな効果があるの。つけたしゅんかんから情がうつって、売れたとき、悲しくなるわ。
所在ページ: p12
ひとこと:せんだって、『がむしゃら落語』(福音館書店)で、産経児童出版文化賞を受賞されたばかりの赤羽じゅんこさんの新刊です。

 犬が飼いたいのに飼えない四年生の空斗は、ホームセンターのペットショップをうろうろ。店員のおねえさんに子犬を抱かせてもらって、ついあと二週間で犬を買ってもらえるとうそをついてしまいます。ところが、空斗は自分の家では飼えない事情があるのを承知していたのです。おねえさんはまるで見抜いていたように、引用のようなことを言います。

 ペットが飼いたいのに飼えないという子はたくさんいるにちがいありません。住居の事情もありましょうし、転勤や、家族の病気などもありましょう。それから今はほんとうにペットにはお金がかかります。昔みたいにみそしるかけのおひやごはんなんて食べさせている家はないでしょうし、放し飼いにもできません。最後まで責任を持って飼うためには、予防接種や避妊手術、そして病気になったら獣医さんに診せたりしなければなりません。

 でも飼いたい。そういう気持ちでいる子は、空斗によりそって、わあと喜び、心配し、そしてペットにまつわるいろいろな事情を知り、犬のしつけ方、散歩のマナー、などを無理なく学んでゆきます。ほんと、犬をかうまえにぜひぜひ読んでいただきたいお話です。