2014年6月14日土曜日

『学校の鏡は秘密のとびら?』三野誠子 岩崎書店

書名:学校の鏡は秘密のとびら?
著者名:三野誠子
出版社: 岩崎書店
好きな場所: くぼみに顔を映せる楽器。あとはシンバルしかない。
所在ページ: P81
ひとこと:三野誠子さんの三冊目のご本です。

岩崎書店の福島正美SF童話賞をとられた第一作の『エレベーターは秘密のとびら』の続編です。

前作は、マンションのエレベータが止まるごとに違う世界に行っていましたが、今度は学校が舞台です。そして鏡がキーワード。あと音楽室、かな? 

こどものころを思い出すと、たしかに怪談によくでてくるように理科室はふしぎなものの宝庫でしたが、音楽室にもなにかふしぎなオーラがありました。それはきみょうなかつらをかぶった楽聖の絵だったかもしれませんし、芸術というもののかもしだす神秘だったのかもしれません。使わないものは学校にもだんだん置かないようになって、聞いたことのない音楽も歌わないようになって、どれだけ合理的に整備されても、学校から排除されてほしくない神秘ですね。

エレベーター……では、自分たちの歴史(?)が想起されましたが、今回は学校の歴史が。そして、あいあいがさのなぞ。先生の旧姓などなど、いっぱいの不思議が最後に解決。三野さんワールドが、今回も全開です。

エレベーター……が人気のご本で何刷にもなっているように、きっとこれもたくさんの子どもさんに読まれるにちがいありません。表紙の色づかいでおわかりのように、ハートフルで、読後感のよい物語です。眠りにつく前に思い出してふっとほほえむことのできる物語を書きたいとたしか以前三野さんにうかがったことがあります。ほんとうにそのとおりの物語だと思いました。