2014年3月18日火曜日

「迷宮が丘九丁目 友だちだよね?」偕成社

書名: 迷宮が丘九丁目 友だちだよね?
著者名: 日本児童文学者協会編
出版社: 偕成社
好きな場所:見あげた目の前には、見慣れないすすけたプラスチックの看板があった。一歩さがって、電柱と電柱のあいだにかかっている看板の文字を見た。「あいた」の次の字のところが割れて穴があいていて、「横丁」とつづいている。
所在ページ: P80
ひとこと:「あたりまえの明日は、もう約束されない……あなたに起こるかもしれない奇妙な物語」というキャッチフレーズの「迷宮が丘」シリーズ二期五巻が出ました。これで、0丁目から9丁目まで、十冊がそろったことになります。

 引用は、9丁目、「あいたた横丁」(高橋秀雄)からです。主人公浩平は駅に行くバスに乗ります。いつも道仁といっしょでしたが、一人になって三日目です。塾に通っているのですが、友だちがおかあさんに送りむかえしてもらうことになったからです。塾はおもしろいのですが、このおいて行かれた感じがなんともつまりません……

 『やぶ坂に吹く風』で日本児童文学者協会賞をとられた高橋秀雄さんは、リアリズムの雄です。その方が、ふしぎな話を書かれるときはこうなるのか、と勉強させていただきました。

 ほかにも河合二湖さんによる、ある男のふしぎな人生の話『ころがる玉のその先』など、全部で五編が掲載されています。