2014年2月26日水曜日

「ともだちは、サティ!」大塚篤子 小峰書店

書名: ともだちは、サティ!
著者名: 大塚篤子
出版社: 小峰書店
好きな場所: ようし、今だ!
ツトムはくるりと後ろをむいて、コップの牛乳を岩かげに捨てた。
捨て終わってふりむいたとたんに、牛乳をくれた少年と目があった。
あちゃー、まずい。
所在ページ: p37
ひとこと:氷河の調査のためにネパールに向かったおとうさんたちについてきた小学五年生のツトムは、海抜2900メートルのところにあるヤラ村で、おいてゆかれます。今年は雪が多くて行動しにくいという理由です。
 ツトムを預かったのは、引用の牛乳を捨てたところを見ていた少年、パニです。
 パニは十五頭の牛と五匹のヤギををつれて、放牧のために二週間以上山に行かなければなりません。おとうさんにジャパンの子を連れて行けといわれて、ふくれます。
 だけど、パニはちゃんとツトムのめんどうをみて、いろいろと山のやりかたを教えます。
 二人は互いにしゃべれず、互いのことが気に入りません。
 そこへ……

 せんだって、ヒマラヤ登山をされるということを大塚先生にうかがって、わたしはびっくりしました。いったん山に入ると、トイレもなければ、高山病でもどしたり下痢をしたり、下着も替えずに何日もいなければならないのだとか。そんなことは想像もできないぐらいの上品でたおやかなご婦人という感じの方です。美人でいらっしゃるし。
 でも心の中は、少年。拝読してそう思いました。本当は登山じゃなくて、現地の子どもたちと放牧に行かれたかったのかもしれません。

 互いに言葉の通じない、生まれも育ちも違う者たちが、一つのことをすること、私のすきなテーマです。でも書くのは難しい。こういうところは映像は得意なことでしょうが、文章は苦手な分野です。
 やってみるとわかりますが、文にするとと、とても複雑になってわかりにくくなります。でも、さすが厳しい同人のプレアデスでもお手本といわれるほどに尊敬されていらっしゃるという大塚先生のこと、ああここでこう切り替えるのかと、感動とともに、しっかり勉強させていただきました。

 これから、世界はこうなってゆきます。互いにしゃべれなくても必要に迫られて一つのことをしなければなりません。そんな人間関係を私も書いてゆきたいなあと思います。