2013年12月3日火曜日

「たべられないよアレルギー」井嶋敦子

書名: たべられないよアレルギー
著者名: 井嶋敦子
出版社: 童心社
好きな場所: ヒデヤくん、すききらいとアレルギーはちがうのよ。ユリちゃんがぎゅうにゅうのんではいけないこと、わかってね。
所在ページ: 12場面
ひとこと:紙芝居は、日本の文化です。紙芝居は演劇の一種で、読むと言わないで「演ずる」といってください、そして「枠」とか「台」とかいわずに「舞台」といってくださいと、紙芝居の専門家はおっしゃいます。(前に紙芝居まつりで、名演者の右手(うて)さんという方の演ずるのを拝見しましたが、ほんとうに名人芸でした。一人芝居ですから、落語のように、声色を変えてまるで何人もがそこにいるように演じられていました。)

 紙芝居は昔はそれこそ黄金バットなどのようなエンタメ系が主でしたが、それはテレビの興隆と共にすたれ、また子どもに与えるものはエンタメではいけないという考えもあったのか、教育現場で使えるように今は絵本と同様に、童話や民話、リアリズムやファンタジーを紙芝居に仕立てたものなどが主です。また演劇に啓蒙演劇というものがあるように啓発にも使われます。

  この紙芝居は啓蒙系、「保育衛生かみしばい まいにちげんき!」シリーズのひとつで、アレルギーを扱っています。脚本(著者)は、現役の小児科のお医者さんです。劇中ユリちゃんはアナフィラキシーショックに陥りますが、保育園の先生がエピペンをつかって応急措置をするところがあります。エピペンを使用したあと、救急車が来るまで足を高くして寝せるなどは、おかあさんがたや先生がたも知らない場合もあるはず。知っていて損のあるはずはなく、また引用のようなセリフを聞けば子どもどうしの「たべないでもいいなんて、いいなー」攻撃もなくなることでしょう。

 それにしても、牛乳を払った手でケーキをつまんだぐらいで、そのケーキをもらってショックが起きてしまうなんて、知りませんでした。びっくりです。またそんなお子さんでも、だんだんアレルギーがなくなったりすることがあるなどもこれではじめて知りました。勉強になりました。

 井嶋さんはこの紙芝居が、単著デビューです。お医者さんであり児童文学者である方として、ほんとうにすばらしいデビューを飾られました。おめでとうございます!!!