書名:
ひげなしねこ
著者名:
季巳明代
出版社:
フレーベル館
好きな場所:
でもおいらはへいきだ。きっとみんなはおいらのしっぽがうらやましいんでい。
所在ページ:
p4
ひとこと:「キンダーメルヘン」2010年2月号として刊行された「ひげなしねこ」が、好評につき、単行本の絵本になりました。絵も前と同じ竹内通雅さんです。この個性的な猫をビジュアルに印象付けておられます。
生まれたときからひげはなく、しっぽの長いひげなしねこ。ねこ仲間にはきもちわるいと嫌われています。
でもこのお話のいいところは、ひげなしねこは、引用のようにまったくへいきで、マイペースの楽しい生活を送っているところです。そして、自らの信念にしたがって、突っ走ります。
いいなあ。
こどものときはわかりませんでしたが、大人になると、同じ事象についても、受け止め方でその先の展開がまったく違ってくるということに気が付きます。どう受け止めるかということは分岐点なのです。
「なかまはずれが悲しい」と思うのかそうでないのか。たしかになかまはずれは悪いことで、それには気が付かなければならないのですが、なかまはずれは悪いということばかりを強調するあまり、受け止め方の話は、子どもにしてはならないというふうに思われてはいないでしょうか。
でもほんとうのところ大人は、多かれ少なかれ、受け止め方によってかわすことを学習しながら生き延びてきているのです。
ひげなしねこの楽天性は、ひげなしねこ自身にも、他の猫たちにも、そして敵にさえ幸せをもたらします。たくさんの子どもさんがたが、読んでくださいますように。