2013年11月13日水曜日

映画『セデック・バレ』

 

映画『セデック・バレ』をDVDで見ました(DVDを買ってから調べたら、若干上映している映画館があるとわかりました。でも長いので、DVDが正解だったかも)。自分の書くものとリアリティの面でかぶる映画はとっても気になります。本当は映像に負けそうと怖くてびくびくしているわけですが、勇気をふるって見てみると、案外、自分の狙っているものとはまったく違うということがわかります。
 
それはそれとして、この映画はとってもよかった。反日、抗日とかいうラべリングをせず、ひとつの民族の物語として見てほしいなあと思います。『はだしのゲン』も『少年H』もひとつの物語ですし、だからといって反米ではありません。どちらもある運命と波に巻き込まれた人たちの物語としてとらえるべきなのではないでしょうか。もっとも日本人としては、そこに派遣の命を受けたこれまた庶民の人々の運命を感じざるを得ませんが、それはまた別にそれとして。
 
台湾には、①ネイティブの人、②主に対岸の福建省から移住してきた漢民族、③共産党との戦いの後亡命してきた漢民族 の三派があると聞いたことがあります。その分類でいえば、これは①の人と、日清戦争の賠償にプランテーション主義に遅れてなんとか参入しようと割譲を受けた日本との抗争の話です。それを反映してか、使われているのもセデック語と日本語です。ジャングルのどこに隠れたかわからない反抗勢力による波状攻撃を、飛行機によって爆撃して何とかしようとする日本軍は、ベトナム戦争をも思い起させます。
 
前編後編、わかれていますが、後編はほとんど戦闘シーンで、人が死ぬところばかりです。なのに、しめっぽさもみじめさもない。ふしぎにさわやかに思える映画でした。