2013年11月20日水曜日

『いとをかし! 百人一首 届け!千年のミラクル☆ラブ』光丘真理

書名: いとをかし! 百人一首 届け!千年のミラクル☆ラブ
著者名: 光丘真理
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所: うれしい気分が、急にしぼんでいく。
なんのために勝ったんだろう?
自分が、たった二枚で得意になるため?
所在ページ:p128
ひとこと:『いとをかし! 百人一首』シリーズは、第一巻『平安時代へタイムスリップ』、第二巻『紫式部がトツゲキ取材!?』、第三巻『天才・蝉丸がやってきた!』と続いてきましたが、この『届け! 千年のミラクル☆ラブ』で堂々の完結です。

 いやあ、おもしろかった。百人一首が詠まれた時代にタイムスリップして、トイレなど貴族の生活を見て、紫式部や小野小町などの歌人と会い、その生涯や親子関係を知り、天才の歌にかける思いなどを感じさせていただきましたが、いよいよ最後、編纂者藤原定家の人生と、カルタをわかりやすく庶民に普及させた有田源吉太、競技カルタを考案した黒岩涙香などをとりあげて、百人一首の歴史をたどりながら、第一巻からの「とき道」と「定家じいちゃんがなぜ現代にいるか」というなぞが解き明かされてゆきます。

 それだけではありません。百人一首競技カルタの大人気のもとで、競技に夢中になっている子どもたちがきっとぶちあたるであろう命題にも主人公のスズは読者と同じようにぶちあたります。
 それはつまり「カルタをとるだけなら、覚えさえすればいい、歌の意味を知る必要はないのではないか?」「心でいいと思うことと、知識とどちらが大事か」「勝負で友達を失うことはないのか?」ということです。
 引用のところ、スズは勝負にでますが、複雑な思いにかられます。しかし……。

 というわけで定家じいちゃんの運命も心配、はらはらどきどきで、スズの成長も感じられる、納得の完結編です。

 真理さん、おつかれさまでした。またすてきなファンタジー待っています!!