2013年9月10日火曜日

「ジャンピンライブ!!! オンザストリート」

書名: ジャンピンライブ!!! オンザストリート
著者名: 開隆人
出版社: そうえん社
好きな場所: 「うそだろ……。みんな、ケチだな。」
「ちがう。オレたちには、なにかがたりないんだ。見てみろ。」
所在ページ: p116
ひとこと:季節風の先輩で、そもそも最初に私を季節風大会にさそってくださった開隆人さん。ちょっとハードボイルドな視点から、ワイルドに生きる現代の子どもたちをまるで映画のように描く方です。
 前のお作品は「メン!」シリーズで、ものすごく厳しいお父さんに謙抑的に育てられ、剣道にかけるミクという女の子を追っていました。
 今度の主人公は男の子、レイ。お父さんに置いて行かれてしまった子です。
 明日のごはん代にも事欠く中、レイはめげません。元ミュージシャンだったお父さんのギターを持ち出して、ストリートミュージシャンとして稼ぐのです。
 師匠のケンさんがチョーかっこいい。私は実は生原稿で読ませていただいていたのですが、なぜかイケメンを想像していました。でも、絵を見て納得。こっちのほうが絶対説得力ありです。
 引用は、レイが児童合唱団でいっしょの女の子リンちゃんと、街頭で稼ごうとするところです。何がたりないのか。曲が古いというリンとレイに、ケンさんは「ちょっとギターをかしてくれねえか。」といい、ある曲をつまびくのでした。

 「メン!」とこの「ジャンピンライブ!!!」ときて、開さんのカラーが明らかになってきたような気がします。リアリズムそのものではなくってちょっとふしぎなハードボイルドな小学生の世界。こういう世界を書ける人はなかなかいないと思うので、それに男性の児童文学作家というのがそもそも少ないと思うので、貴重です。次の本がもうから待たれます。