書名:ぼくのともだち、どじなぶた
著者名:
三野誠子
出版社:
岩崎書店
好きな場所:「ぼくの名前は、ともゆき。わたなべ、ともゆき」
「わたなべ……」
こぶたは小さくつぶやいて、ぶひーっとわらった。
「おいらの名前、教えるのやーめた」
所在ページ:
p44
ひとこと:ダジャレはおじさんのものだと思っていませんか。でも子どももダジャレは大好きです。
それから、子どものころ耳で聞いて、違うことを連想して覚えていたことはありませんか。(有名なのは『巨人の星』の「重いコンダラ」ですが、私は『蛍の光』の「あけてぞけさは」というところでいつも「佐渡おけさ」を連想していました)
そういえば、空耳アワーなんていうものもありましたっけ。
そんな聞き間違いや、思い間違い、それから連想を縦横無尽に使ったこのお話、子どもが喜ぶことうけあいです。
そしてだじゃれと連想が、ことわざに重なって、このお話は子どもにとって一生忘れられないものになると思います。
どじなこぶたくんが来たのは、わたなべくんのところ、もうそれで。
あと「とも」ちゃんも「るい」ちゃんもいるし、もうそれで。
ことわざを覚えなさーい、なんて目をつりあげて言う前に、ぜひこの一冊を。
そのような効用はおいておいても、ほんとうにおもしろいお話です。
三野さんは第27回福島正実SF童話賞大賞でデビューされた方で、その授賞作『エレベーターは秘密のとびら』は、なんともう5刷でいらっしゃるのだとか、すごいです。
ご受賞のときに三野さんは「たとえば寝る前に手に取った本でふっと笑い、柔らかな表情のまま眠りに就けたら素敵です」とおっしゃっておられますが、どちらのお作品も、そんな三野さんのお人柄の通り、そんなふっと笑えるやさしくって明るいお話だと思いました。