2012年6月18日月曜日

いとをかし! 百人一首 紫式部がトツゲキ取材!?

書名: いとをかし!百人一首 紫式部がトツゲキ取材!?
著者名:光丘真理
出版社: 集英社みらい文庫
好きな場所: 物語がつまらなくならないように、つねに事件などドラマの山をつくっていかなくてはならないからね
所在ページ: p89
ひとこと:昨年末に「いとをかし!百人一首 平安時代へタイムスリップ」を出されたばかりの光丘真理さんですが、評判がよくてこれがすぐに増刷され、今度はまだ夏だというのに百人一首シリーズ第二弾の発売です。
すごい!
でも人気の秘密は読んでみればわかるような気がします。だれでもちゃんと勉強したいと思っている百人一首の歌の意味とその詠み手の生涯、まんが「ちはやふる」で人気にもなっている決まり字などのカルタの取り方、男装のかっこいい女の子(先輩)、おかまっぽい美男子(先輩の父上)などなど小学生の読みたいような内容が満載。それに共感できる身近な家族の話もちゃんと織り込まれています。

前回は、四年生の主人公スズと、百人一首クラブのナリ先輩(女の子)が、とき道を通って平安時代にタイムスリップし、小野小町らに会う話だったのですが、今回はちょっと時代がさがって、紫式部らに会います。そして副題のように紫式部から逆取材を受けて、作家さんも大変ねーと感心するところが引用部分です。うんうん、ここのところは何かを書く者としてはよくわかる。源氏物語はほんとうに起伏に富んでいてキャラの設定もすばらしく、よくできていますから、名作だからあたりまえと思っていても、ついついどうやって書いたんだろうと思いますもの。

ところで「百人一首」関係のお話のつくり方で難しいだろうところは、一口に百人一首といっても、詠み手の生きた年代がかなりの広範囲にわたっていることで、タイムスリップをしても一度に会えるわけじゃない。そして、何人かは設定によって一度に会えても、時代的にまだその人はその時点でまだその歌を詠んでいないことがありえるということです。また、紫式部などの実在の人物も出さなければならないし、同時に光源氏などという架空の人物についても具体的に説明しなければならない。
そこを光丘さんは、作家さんとしてのさまざまなテクニックを駆使して、クリアされています。とってもクレバーな方だというのがそこからもよくわかります。

うう、それにしても紫式部が○○○そっくりだったとは……。読んでのお楽しみですけど。