2012年1月15日日曜日

季節風109号

書名:季節風109号
著者名:全国児童文学同人誌連絡会
引用箇所:達子さんは恋愛はしなかったのか。おとうさんは、達子さんのいったいどこがよくて
引用ページ:p66

前号はお休みしたので、しばらくぶりに掲載していただいたような気がします。
今回は「安藤安」という拙作をのせていただきました。離婚によって安藤安という名前になってしまうという子の数日を描いたものです。
いつも大会のあとは、今まで書かなかった作品を書いてみたくなります。なぜかというと、大会で人さまのお作品に突っ込んでしまうと、自分の申し上げたことは本当に可能なのだろうかと反省し(笑)、自分でやってみたくなってしまうからです。今回の大会では、いろいろ人に申し上げた、その一つに「離婚した両親を持つ子の気持ちって、こんなものだろうか」ということがあったので、それを書いてみたくなりました。
あと、もうひとつ、大会であさのさんが「普通の子を書くのじゃないのよ、特別な、その子を書くのよ」とおっしゃったこと、それが頭にあったのです。
実験してみたことで、掲載される、そうするとこれでもいいのだと前へ進める。それがとっても励みになります。でも、最近ちょっとこのまま投稿してていいのかな……と思ったりも。でも掲載はうれしい。

今号は、大会推薦作も半分掲載されていて豪華版。わが物語分科会からは、おおぎやなぎちかさんの短編三部作から「虫送り」が。戦時中の双子の兄弟のうち、弟の気持ちをつづった傑作です。ほんとすばらしい。三部作のうち、第一部「疱瘡神」は、前号に掲載されています。
うつのみや童話の会の躍進もめざましく、金映子さん、妻木ヨシイさんが掲載。妻木さんはいつも戦前の宇都宮の名家のお嬢さんの優雅な暮らしと、家を守るという責任を負った立場にある者の気持ちを描いてその雰囲気は秀逸で、今回は戦後すぐに元特攻隊員だったお婿さんをとるというお話。うーんいいなあ。
あと、前回の合評会で、不掲載作品として合評対象になった谷もと子さんが、違うお作品でめでたく掲載。不掲載作品として合評されると、掲載されるようになるから合評ってすごいなあと思います。
あとは物語分科会でごいっしょさせていただいた北原未夏子さんのまたチャレンジングな作品が。たぶんあさのさんの同じ話を伺って「特別な子」にこだわられたんだなあと思います。
さくらさんこと櫻井さんのお作品、私はじめて拝読したかも、山形の方言の効いたすてきなものでした。九州のしなおかななしさんの大会推薦作もうわさにたがわずすごく、江戸時代の下町を詳しくご存じの海光さんの下町長屋物語、前号につづいてこれもずっと続くのかな。楽しみです。
石井さんのとびきりすごいお父様の第二作もおもしろく。信じられないかもしれませんが(笑)実は私の父もこんなテンペラメントの人でした。とにかく季節風はみなさんすごいです。