2011年7月11日月曜日

つらかんべぇ

書名:つらかんべぇ
著者名:漆原智良
出版社:今人舎
好きな場所:小島には港がありません。船着場は岩場にセメントを流し込んだ島の突端にすぎません。ですから、大きな船は寄せられません。また、五トンの小船では黒潮の潮流を乗りきることもできません。
所在ページ:42
ひとこと:1934年生まれの児童文学者漆原先生が、会津疎開中に東京大空襲でご家族を失われ、宇都宮に奉公に出られ、働きながら教員免許をとられて八丈小島に赴任されたなどのご自身の体験と交友関係、読書などから、珠玉の言葉を集めて綴られた本です。
 引用は、八丈小島のこと。
 船が来なければ、注文した学校の文房具も食品も来ないという状況は、考えたことはありますが(実は法学を学んだ方はよく知っておられると思うのですが、民法の問題などにでてくるので)極限状況を想定したという印象でした。でも今度の災害では、実際の生活の一コマとしてそういう極限を経験した人がたくさんおられるわけで、どういうことだったかと想像すると、胸がふさがる気持ちがします。そういう意味でも子どもさんがたが昔の知恵が腑に落ちる、共感できるのだろうなあ。
 つらかんべぇ、くじけないで! という著者のお気持ちがこもっている本だと思いました。