2010年11月24日水曜日

「風景」後藤竜二

書名:風景
著者名:後藤竜二
出版社:岩崎書店
好きな場所:住み込みの季節労務者もつぎつぎといなくなって、ぼくらの部屋にはだれもいないのに、兄はなぜこんな所でガリ勉するのか、さっぱりわからなかったけど、ぼくは「オス」と約束するしかなかった。
所在ページ:103
ひとこと:偲ぶ会でいただいた後藤さんの本「風景」を読みなおしました。
「学校は、勉強勉強って、百姓の子どもらにガリ勉させて、いったいどこに連れてく気なんだか。日本中の百姓つぶす気か」とおとうさんは言い、でも学校はテストテストで負けるのはくやしい、勉強したいが、手伝いは際限がなく時間がない、兄と弟の鬱屈がやっぱりすごい迫力です。住み込みの若者と家族のやりとり、利害関係、四方八方の人間関係が、主人公の怒りの中でありながら、一方的でなく描かれていました。

農業とは関係ないですが、この鬱屈、私にもたしかに覚えがありました。赤んぼうを抱きながら、まいにちまいにちこんなことをしているのなら、私は今まで学校でなにをしてきたんだろうと思ってた26歳ぐらいのことでした。