2010年6月21日月曜日

ブロンド美女の作り方

書名:ブロンド美女の作り方
著者名:スー・ネルソン リチャード・ホリンガム
出版社:バジリコ株式会社
好きな場所:人工知能マシン(中略)がほんとうの意味で知性を持ち始めたとき、人類は二派に分かれると教授(引用註:ユタ州立大学のヒューゴ・デ・ガリス教授)は考える。人工知能の発達を、人類進化の次の段階として歓迎する「コスミスト」と、人工知能に強固に反対する「テラン」である。コスミストとテランの対立はやがて戦争へと発展し、人類の滅亡すら招きかねない。
所在ページ:82
ひとこと:この本、題はすごいですが、まじめな科学解説書です。著者はいずれもBBC関係の人。BBCのドキュメンタリーは情報量が多くかつわかりやすいですものね。
訳もいいです。こういうちょっとお茶めかした本は外国ものには多いですけど、ひどい訳だと読めないです、というのも、比ゆとか使ってあって直訳ではなかなかうまくゆかないんです。けっこう大胆にばさっと訳さないと。

ブロンド美女の作り方というのは、遺伝子操作の話ですが、他にも物理学や、ロボット工学、などなど先端科学の応用状況をわかりやすく説明しています。2007年の本ですから、本当にこれが今でも先端科学かどうか、私にはわかりませんが、とてもおもしろかったです。物理学関係は、やっぱりさっぱりですけど(物理は高校時代赤点取りそうになった人間なので。走る電車に降る雨の角度とかできなくて 泣)

ともあれ、引用の文ですけど。

最近の「はやぶさ」を思い出します。はやぶさですが、表で報道されている以上に、若者は熱狂しています。動画サイトには「おかえり、はやぶさたん」という書き込みがリアルタイムでものすごい数になりました。「はやぶさたん」は女の子に擬人化されて、プラモにさえなっているそうです。

これの前にも「ミク」というのがありました。ミクは、要は人声で出力させることのできる音楽のソフトウエアですが(コンピュータに歌詞を歌わせ、シンセサイザーとして使うための)、単なるプログラムであるにもかかわらず(ハードはない)、擬人化されただけではなく、動画サイトの無名の多くの若者によって、あるアニメの一部と、ある歌とリンクされて、ねぎを振りながら歌うデフォルメされたキャラクターとして自然に育ち、一人歩きしている。

こんなことは、多くの大人は知らないのです。

とにかく今回の「はやぶさたん」は、どんなに日本のロケット技術の発展に役立つでしょう。というのも、今ロボット開発者の多くが「アトムを見て育った」「アトムを作りたかった」とおっしゃっているわけですから。あと何十年かたって「はやぶさたん」世代がきっときっとすごいロケットを作ってくれると思うと、それだけで感動します。

擬人化で思い出すのは、よく経済学や経営学で言われる日本に産業ロボットが受け入れられたわけというのが擬人化にあったということです。産業ロボットを、日本の労働者は仲間と認識し「ももえ」とか名前をつけてかわいがったが、他方米国では、労働者の職を奪うライバルとして排斥されたというものです。

これと全くおなじことが、世代が変わり、ツールが変わっても起きている。

ほんとふしぎ、文化というのはふしぎと思った、はやぶさたん騒動でした。