2010年4月13日火曜日

「季節風」102号

書名:「季節風」102号
著者名:全国児童文学同人誌連絡会
引用:おばあさんが化けて出やせんじゃろうか
所在ページ:18
ひとこと:拙作「小柄の鉛筆削り」を掲載していただきました。同時の掲載の他の立派なお作品を読むと実はめげる、引用は恥ずかしいけど、そんなこと言ってちゃだめだーっ、発表するからには堂々とやれと思い直して書いています。親戚にちらりと聞いたことをもとに、戦時中の金属回収のことを調べて書きました。お寺の鐘を出しました、などのざっぱくな記述は山とあるのですが、なかなか具体的な資料はなく、あちこち探し回り、最終的には九段の「昭和館」に静岡県の当時の隣組の回覧(印刷物)が残っており、書庫から出していただきました。まったくの現物でしたのでちょっと感動いたしました。小柄も刀剣博物館で見ましたが、それでもわからないところはたくさんあり、想像して書きました。このおかあさんのセリフなど、ほんとに書いているうちにふっと出て来たものです。他に、指輪を出している奥さんのセリフとかもね。まあ、そんなわけです。

他に昨年小樽のファンタジー大賞の第一席でいらしたおおぎやなぎちかさんの「かまくらら」がのっています。これは受賞されたのとは別作品でリアリズム。私は大好きな作品です。なんと言っても、雪の描写と二組のきょうだいの気持ちがとてもすてきです。鉄瓶のゆげの描写などは、読んだとき私は匂いまでしました。冬の日のあのしゅんしゅん言うゆげのなんとも形容しがたいあのにおいです。

あとまだたくさん井嶋敦子さんの詩とか、堀米薫さんの農業ルポとか、うつのみや童話の会のはやみずようこさんの人気ののまシリーズとか、同じ童話の会の期待の新人せいのあつこさんとか、超常連のいとうみくさん、北原未夏子さんの創作などいっぱいいっぱいあげられないほど。

一冊500円ですが、実は刷っても赤字というこの雑誌、発送を一手に引き受けておられる高橋秀雄さんもすごいけど、これだけ長く出しておられる季節風の代表後藤竜二さんもすごいかただと思います。